フジファブリックの「若者のすべて」です。夏の定番曲で、歌詞の最後で2人が会えたのかどうか、ということがよく議論になる曲です。公式のPVがあったので、ぜひ聞きながら読んでみてください。
1番Aメロ
ほとんどビブラートを使わない歌い方ですね。ここは静かなメロディで、真夏の終わりの情景を伝えています。歌声と歌い方から、おとなしめで、どこかぼーっとしたところがある人物像が、生活感とともになんとなく伝わってきます。
1番Bメロ
ここでメロディが一気に高いところに伸びて、情景に情感が加わっていきます。夕方のチャイムというより、サイレンみたいな感じもしますね。ロングトーンで、少し掠れた声質なのが感じられます。
1番サビ
有名なサビ。過去を回想し、何かが思い出されています。nやmの音がたくさん出てきますが、少し下からしゃくりあげる特徴的な節回しです。歌い方からやはり少しのったりしているような印象を受けるのですが、それが強い現実感の中で夢見ているようなところもある感じをうまくバランスよく伝えているように思います。エモさのためには、これぐらいの歌い方の加減がいいのかもしれません。(自分はあまりエモさを理解していない人間なので、これは推測です。)
2番Aメロ
再び静かなメロディです。自分の人生の歩みを振り返っていますが、サビで歌われた日から今までのことなのでしょう。
2番Bメロ
Aメロの歩みの内容から引き出される形で、再び情感のある情景。夕暮れが深まっていき、暗くなっていく感じが伝わってきていいですね。
2番サビ
1番のサビと同じ内容の歌詞が繰り返されます。感情的にも反芻しているんでしょうね。個人的に花火(大会)に大してエモーションがないので、正直この曲の一番大きなエモーションは十分理解できていないような気もするのが歯痒いところ。
Cメロ
歩き出していきますが、これは想像の中なのか、具体的な行動としてなのか。いまの話なのか過去の話なのか。解釈の幅が広く取られている歌詞です。この部分、歌が少し引っ込んだミックスになっているのも気になりますね。
ラスサビ
サビの内容が少しずつ変わっていきます。ここの解釈がよく議論になるところですが、もし会えたら、という想像で独白していると考えた方が余情があっていいと思うんですがねー。朴訥であまり過剰に感情表現しない歌い方なのが、聞き手に様々な感情移入の余地を与えています。最後の方でなんか会えたっぽいことを言っていますが、そうは言いつつ、少し距離感も感じさせる歌詞ですね。自分は会っていない派なのですが、その根拠はこの辺にもあるのかも。少なくとも、再会して直接会話をしているようには思えない。
志村正彦は歌がうまい?
少なくともこの曲に関しては、わかりやすい歌のうまさではないと思います。ただ、これまで見てきた通り、登場人物の人間性だったり、感情移入の余地を広く持たせるような歌い方になっている点はとてもいいと思います。

コメント