今回は倉橋ヨエコ「今日も雨」です。単純に前向きではないが、どこか吹っ切れた感じもある曲です。公式の音源があったので、ぜひ聞きながら読んでみてください。
1番Aメロ
ネガティブ寄りな状況が歌われていきますが、2、4拍目のリズムを強調した歯切れのいい歌い方で、どこかそれを受け入れている感じがしますね。リバーブも声がまっすぐ伝わってくる感じを邪魔しないように控えめなかかり方になっています。
1番Bメロ
声は少し矢野顕子に似ていますような気がしますが、もっと一本気な感じで、それが胸を打つ感じのニュアンスにつながっている感じがします。このBメロでは特にそうした声のまっすぐさが印象的ですね。歌詞の内容はネガティブが極まった現実を突きつけているのですが、それをバネにする形でサビへと展開していきます。
1番サビ
Bメロよりもちょっと優しめに、でも少し弾んだ感じもあるニュアンスです。両サイドで鳴っているギターが雨の中感を出していていいですね。
2番Aメロ
1番と同じくですね。そこまで言わなくても、という内容が歌われていきます。1番よりも重い内容ですが、サビがあった後なので曲全体の前向きさを邪魔しないですね。
2番Bメロ
引き続きネガティブで重たい内容が深められていくのですが、サビでの前向きな展開を予感させる声と歌い方です。曲自体のテンポの良さもあって、ずっと曲に推進感があります。
2番サビ
繰り返すことがこの曲のモチーフの1つに感じます。雨も繰り返されるし、自分の反省や落ち込みが繰り返される中で、追いかけることも繰り返していく。追いかける、という行動自体が、継続や反復のニュアンスを含んでいるようにも感じます。そのまま間奏へ。
落ちサビ〜ラスサビ
声や歌い方に少しやさぐれたニュアンスがありつつ、それとまっすぐさが融合していてニュアンスフルです。ラスサビに入って巻き舌や歌い方の変化も加えつつ、独白から、自分自身への語りかけに少し次元を上昇させていきます。そうすることで歌が未来へ開けていく感じがあります。少し開き直りや笑いのニュアンスも感じさせる、豊かな前向きさを含んだ歌だと思います。最後の伸ばしの(過剰な?)まっすぐさも、そうしたニュアンスをよく感じさせるように思います。
倉橋ヨエコは歌がうまい?
この曲の倉橋ヨエコは、曲と歌い方がとてもマッチしていて好きです。どちらかというと技巧的というよりはまっすぐな歌声と歌い方ですが、単にまっすぐというだけではない、ニュアンスフルな魅力が感じられるのではないでしょうか。

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